ツイッターのお題でSS。
今回はこちら『
書くものに悩む貴方へ』の診断結果をお借りしました。
診断製作者の方、投票してくださった方、ありがとうございます。
[0回]
偽りの仮面
ありのままでいい。
自分を偽る必要など無い、素直にさらけ出せばいい、と。
そんな言葉をよく耳にする。
ありのままの姿こそ正しく、
偽り、嘘を吐くことは間違っている、と。
はたして、そんなに単純な話があるだろうか。
ひとつ、例え話をしよう。
我々ケルベロスはデウスエクスを倒すが、その全てが宇宙からやってきたモノではない。
奴らの力によって、人間からデウスエクスに変じてしまったモノも討伐対象となる。
もちろん、可能ならば救出したい。
けれど、もはや人間に戻すことが叶わぬ場合は
殺すしかないのだ。
刃を滑らせ首を刎ね、心臓に重力の鎖を叩き込んで殺すのだ。
では、「なぜあの人を殺したのか」と問われたら、何と答えるのが正しいのか。
本当は自分だって殺したくはなかった。
けれど、もう元の姿に戻すことははできないから、仕方なかった。
自分だって悲しくて心が張り裂けそうなのだ。
と、涙ながらに本心を語ればいいのか。
殺さなければ、更なる犠牲が出ることになる。
心中お察しするが、仕方のない措置だった。
ご冥福をお祈りします。
と、事務的に対応すればいいのか。
ありのままでいいなら前者だ。
けれど、私は後者でいたい。泣くべきは私ではないのだから。
本心は隠したいと、心から思っているならば、どうすればありのままだといえるのだろう。
本心を吐いて、自らの思いを偽るか。
偽りの仮面をかぶり、自らの本心を押し込めるか。
色々と考えてはみたものの、結局はどちらでもいいのだろう。
身も蓋もない結論ではあるが、自らの信じる道を往く以外に何があるだろうか。
水分の多い瞳を見つめて、口を開く。
「ご冥福をお祈りします」
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